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知っておきたい!入試のポイント
公立高校合格判定の仕組み
これまでさまざまな制度の見直しが進められてきた県立高校入試。前期(特色)選抜、後期(一般)選抜が実施されるようになり、2011年度入試から12年目を迎えます。入試で合格がどのように判定されるのか、その重要ポイントを紹介します。
県内3つの通学区域
入試制度を理解するためには、まず入学を希望する高校の入試要項に目を通してみましょう。入試要項には「通学区域」が規定されています。これは「学区」とも呼ばれ、図1のように県内には「県北」「県央」「県南」の3つの学区があり、県立高校(全日制)の普通科(湧心館高と普通科のコースを除く)に適用されています。
ただ、学校によっては、通学区域外の一部地域を「調整区域」とし、通学区域と同じ条件で受検できる地域もあります。例えば県北学区の玉名高・鹿本高・菊池高・大津高は、熊本市北区の旧植木町が調整区域。そのため旧植木町の志願者は、県央学区の高校も県北学区の4校にも同じ条件で受検できます。
なお次については、県内の3つの通学区域の適用はなく、県内全域が通学区域になっています。
・全日制の専門教育を主とする学科(工業・商業・農業・水産・理数・英語などの専門学科)。
・定時制課程
・総合学科(翔陽高)
・湧心館高の全日制普通科
・普通科のコース(理数・英語・体育・国際・美術・福祉教養など、普通科に設けられた各コース)
「入学者選抜学区外枠」とは?
通学区域(学区)外から出願する生徒に対しては入試の際、「入学者選抜学区外枠」が適用されます。これは募集人員に対し13%と定められており、募集400人の高校の場合は52人、同280人なら36人までの学区外からの入学が認められます。ただし、この枠は学区外出願者のためだけに入学者の席が空けられているのではなく、 選抜の結果、学区内受検者の成績が学区外受検者より上位なら、学区内受検者が合格します。2009年度入試までは、県内が細かく8つの通学区域に分けられており、入学者選抜学区外枠も6.5%だったため、人気校では学区外からの志願者数が、6.5%枠を超えるケースが見受けられました。その結果、人気校では学区外受検者の合 格ラインが学区内受検者より高くなるという不利がありましたが、通学区域と入学者選抜学区外枠の拡大により、学区外からの受検の振りはかなり解消しています。2023年度入試で学区外からの志願者が募集人員の13%を超えたのは、済々黌高(13.7%)・大津高普通理数科(18.9%)・大津高普通スポ−ツコース(52.2%) でした。なお、熊本市立の必由館高と千原台高の通学区域は熊本市とされ、入学者選抜学区外枠の規定も県立高校とは異なります。両校の入試要項を見て、各学科・コースごとの規定を確認してください。
「合格したら入学」が条件
前期(特色)選抜には、出願にいくつかの制限があります。例えば出願は1校限り、第2志望を認められない、一度出願した場合は変更できないなどです。また合格した場合、必ず入学することが条件です。 前期(特色)選抜を実施した県内高校の各学科・コースと募集人員・倍率は、家庭教師の熊大サークルサイトの最新高校入試情報 をご覧下さい。
学校独自検査を実施
前期(特色)選抜の狙いは、「受検者の多様な能力・適正や意欲・関心、努力の成果などの優れた面を積極的に評価する」「特色のある学校にするための選抜を行う」とされています。12年度入試から、学力検査がなくなり、面接、小論文、実技検査、実験、自己表現、総合的な学習の時間の成果発表などからなる、各学科・コースごとの学校独自検査による選抜が実施されています。
選抜資料に注目
学校独自検査の内容は、志願する学校ごとに異なり、その内容は入試要項などで確認できます。学科・コースの「選抜資料の取り扱い等」に注目し、その中の「重視する観点」「検査内容」「具体的な選抜方法等」などをチェックして下さい。選抜資料は、熊本県教育委員会のサイトをご覧下さい。
調査書評定も重視し中学3年間を総合評価
後期(一般)入試には、中学校教育における学習成果を総合的に評価する狙いがあります。そこで入試の際の5教科(国語・社会・数学・理科・英語)の学力検査とともに、音楽・美術・保健体育・技術家庭などを含め、中学校生活3年間が評価された「調査書」の評定(内申点)も重要資料として、入試の合格判定に採用されています。学力検査の問題は各校同じですが、数学と英語の問題の一部には、 学校が指定する選択問題(A・B)があります。また一部の芸術系や体育系などの学科・コースでは実技検査が行われるケースもあります。合格判定は理数・英語などの学科・コースで、後述のような特別処理を適用するケースがありますが、基本的に各校同一の基準で第一次選考が行われ、合格判定が実施されます。第一次選考で合格圏内の受検者数が募集人員に満たない場合は、あらかじめ各校が定め た基準に従って、定員になるまで合格圏が広げられます。次に順を追って、選抜の手順を紹介します。
1.学力検査の順位をタテ軸に
合格者を判定するために、まず学力検査の5教科得点合計(250点満点)で順位付けします。そして図2のように、タテ軸の下から順位に成績上位者を配置します。ただし理数科や理数コースでは数学、英語科や英語コースでは英語の得点のみを2倍にして5教科300点満点にするなど、特定教科を重視した特別処理を行って選別する学科・コースがあります。
2.調査書の評定(内申点)を「補正」後、順位をヨコ軸に
調査書には入試で学力検査を行う5教科(国語・社会・数学・理科・英語)だけでなく、学力検査を行わない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)についても評定が記入されています。各教科の評定(内申点)は、中学1年生から2年生までの評定と3年生の評定を2倍にして、3年間の合計得点が算出されます。3年生の評定を2倍にするということは、3年生の評定を特に重視しているわけです。 ここで、担任の評価が”甘過ぎる”などの偏りが起こる可能性があります。その是正を狙い、5教科については学力検査の得点を用いて評定の「補正」が行われます。この補正の仕組みについては後で詳しく紹介します。そして調査書の評定(内申点)を順位付け、図2のようにヨコ軸に点数順に受検者を配置します。
3.第1次選考の合格圏が決定
学力検査の順位をタテ軸、調査書の評定順位をヨコ軸に展開すると、タテ軸・ヨコ軸ともに募集人員の範囲内、つまり合格圏内に入っている受検者が第1次選考の合格者となります。募集人員200人の図2の例では、Aさんは学力検査の順位が150位でしたが、調査書の評定(内申点)が210位だったため、第1次選考では合格圏外でした。つまり学力検査の成績が上位であっても、中学1年生からの 調査書の評定(内申点)が低いと、合格圏外になってしまうこともあるのです。
4.学校ごとに異なる第1次選考後の合格圏
第1次選考で合格者が募集人員に満たなかった場合は、第1次選考の合格圏外の受検者を対象に定員になるまで選考が続けられます。第1次選考までは、理数科や英語コースなどにおける特別処理のケースを除き、全ての公立高校で同じ選抜基準で合格者が決定され、その後はあらかじめ各学校が定めた選抜基準で選考が行われます。その例を表2で紹介しています。特に文中の「主たる資料」と「参考」の 表記の違いに注意しましょう。第1次選考後の合格圏は、それぞれの学校・学科・コースにより異なりますが、2つのパターンを例示したものが、図3の「例1」と「例2」です。「例1」は調査書の評定(内申点)より学力検査の成績を重視し、合格圏をヨコ軸方向のみに広げたケースです。ここで先程のAさんが合格圏に入ります。「例2」が学力検査の成績も調査書の評定(内申点)も同程度に重視し、 合格圏をタテ軸・ヨコ軸ともに同程度広げたケースです。第1次選考後の資料は熊本県教育委員会のサイトをご覧下さい。
補正の仕組みは?絶対評価による偏りを補正
調査書の評定は中学校3年間の学習状況を示し、入試の合否を左右する重要な資料になることはすでに紹介した通りです。この評価方式は2005年度に「相対評価」から「絶対評価」になりました。絶対評価とは”基準とする目標に生徒がどの程度到達できたか”を評価する方式。相対評価とは”統計学に基づき、同じ学年のほかの生徒と比較した相対的な順位”で評価する方式のことです。相対評価は統計 学の正規分布に基づき、一般に5段階評価にうち、評価1と5の割合が各7%、2と4が各24%、3が38%というように、グラフにすると山型になり、5段階の各比率の合計が100%になります。この評価法の場合、担任の極端に偏った評価を防ぐことができますが、実際にはどの学校でも評定1と5の割合が7%とは限らず、英語の評価が5だった生徒が転校して同じ努力をすれば転校先でも英語が5 と評価されるとは限りません。また「評定が固定化しやすい」「上位者が病気などで成績が落ちた場合、その下が相対的に上位になる」など、本人の努力とは無関係な競争方式との批判がありました。それに対し絶対評価は、生徒の努力の成果に応じた評価ができる半面、担任により、評価に偏りが起こりやすいという問題点もありました。そこで絶対評価を導入したときから、評価の偏りに対処しようと、入 試では国語・社会・数学・理科・英語の5教科については、学力検査の得点を用いて内申点の補正が行われるようになりました。具体的なやり方は「補正の手順」に示した通りですが、学力検査の成績が高いにも関わらず調査書の評定が比較的低い受検者の内申点を高めに補正し、逆に、学力検査の成績が低いのに調査書の評定が高い受検者の内申点を低めに補正しています。以下の図3に補正の手順を示しま す。
入試本番に1点でも多く得点を取ることが大切
上記に書かれている内容をまとめると、後期(一般)試験で多くの得点を重ねることが重要です。本番でのミスはかなり痛く内申点でカバーされる場合もありますが、やはり本番試験で得点を重ねる方が合格しやすいと思われます。受験生の皆様、風邪をひかずに頑張って下さい。
前期(特色)試験と後期(一般)試験の違いはなんでしょうか?
前期(特色)試験とは、いわば学力検査がなくさまざまな学校独自検査で選抜することが特徴です。ただし、各高校の普通科又は普通コースだけは受験できません。合格をしたら必ず入学しなければならないという条件があります。各学校によって特色が異なりますが「受検者の多様な能力・適正や意欲・関心、努力等の成果などの優れた面を積極的に評価する」と書かれています。選抜方法は、さまざまで面接、小論文、実技検査、実験、自己表現、総合的な学習時間の成果発表などが実施されます。詳しい内容は、熊本県教育員会が発表していますこちらの資料をご参考下さい。
後期(一般)試験とは、いわば当日の学力検査の点数とお子様の調査表(内申書)を総合評価して算出し、全学科受験できるのが特徴です。各高校においてどこを重視するかは異なりますが、進学校においては当日の学力検査の5教科総点数を重視する傾向があるのではなかろうかという個人的な感想です。詳しい内容は、熊本県教育員会が発表していますこちらの資料をご参考下さい。
前期(特色)試験に「合格できるお子様」の特徴はなんでしょうか?
合格できるお子様の特徴は、その時の「運」かもしれません。毎年前期(特色)試験の入試倍率は2倍〜10倍で少ない定員の中から選抜されます。試験日にたまたま検査試験ができたとか、面接の時にたまたま面接官にうまく応えられたや、小論文がうまくできたとかで、偶然にも「たまたま」が重なったことで合格したお子様も数多くいます。そのため、前期試験が残念な結果だったとして落ち込むことはございません。後期(一般)試験のためのウォーミングアップと思って前向きに試験へ望んで下さい。また各高校によっては部活動、生徒会活動、ボランティア等の内申書を評価してくれる場合もございます。詳しい内容は、熊本県教育員会が発表していますサイトを参照して下さい。
公立高校のボーダーラインを教えて下さい。
年度によってボーダーラインが多少変動します。あくまでも個人的な目安として普通科だけの点数を掲載しますので、予めご了承下さい。熊高184点、済々黌164点、第一137点、第二145点、熊本北120点、東稜96点、熊本西72点、必由館100点、湧心館55点、御船高校56点、宇土90点、大津70点、鹿本55点、玉名97点