家庭教師の熊大サークルホーム 熊本の高校受験(番外編)

1. 熊本の四高神話はすでに幻となっており、高校受験も戦国時代になっている

平成29年、塾・家庭教師業界に激震が走った。熊本で私立の慶誠高校から最難関受験である熊本大学医学部と薬 学部へ現役合格者(パンフレット参照)が現れたのであります。慶誠高校のこ とをご存知でない方もいらっしゃるかもしれないので説明をしておきますと偏差値38〜51の高校であります。通年、 毎年輩出している四高や真和、マリスト高校から医学部・薬学部合格者が出たのなら何も驚きもしません。ただ私達が 今迄予想していなかった高校から学校推薦ではなく、センター試験利用で合格を勝ち取ったことに意義があるのです。 ただこの年は、熊高、済々、真和、マリスト、学付、尚絅、慶誠高校を除いて公立四高のうち2校からは熊本大学医学 部へ現役合格者が出ていません。学校の進路指導の先生は、この年は医学部を目指したい生徒がいなかったため指導を しなかったとのありふれたコメントであります。最近この2校からは医学部や難関大学(東大・京大・九大)を受ける 受験者が少なく学校としても高いリスクを負う傾向を避けるため、地方の国公立大学や私立大学を受験させて合格実績 を上げる傾向が見られます。高校入試の倍率は毎年高いのですが...。私立高校も生き残りをかけ特徴的な学科を新設さ せたり、優秀な先生を集めて生徒が勉強しやすい環境作りを行っているため公立と私立がどちらが良いかの質問は判断 に迷います。
 ところが最近熊本の高校受験にある異変を感じるようになってきました。今迄は四高に入学することがお子様や保護 者の夢でもあり、将来難関大学へ行ける切符を手にしたものと思っていましたが、現在は高学歴より生徒の個性を重視 し、少し高校のレベルを下げて自分のレベルに合った高校を選び学年上位を目指して将来大学受験を臨んだ方が優位だ と思われるご家庭も増えてきました。四高におっても3年後学年上位と下位では将来貰える特典に雲泥の差があるため 、学年上位のお子様は国公立大学の学校推薦を貰えるが、学年下位では国公立大学の学校推薦も貰えないし、私立大学 くらいしか受験できなかった状態でした。そんな時2020年度入試では「大学入試センター試験」から「大学入学共通テ スト」に名称を変え、数学、国語はマーク式と記述式が導入され、英語も4技能評価が導入される予定で現在3年後を めどに試行問題で調整をしています。また国公立大学の推薦枠が現在約15%から約30%の2倍に増え、学校先生の 内申書評価が導入され、高校3年間の評価が大学へ送られることになります。まさに高校での活動(学校成績・部活・委 員会・ボランティア・資格・検定等)しだいで希望大学を受験できるかがポイントになります。要は、3年後の大学受 験は「大きなチャンス」がいっぱいありますので、高校受験に失敗したからと言ってくよくよすることはありません。 戦国時代のような「下剋上」が起こりえる可能性だってございます。なぜ「下剋上」が起こりえるのかは、「5.20 20年度大学入試はなぜ変わるのでしょうか」からお読みください。

2. 最近、特徴的な学科を受験する生徒が増加傾向に見られます

玉名女子高校画像

 先程、「特徴的な学科」や「生徒の個性を重視」と書きましたが、私立高校で特徴的な学科が登場しているのはご存 知でしょうか?  その特徴的な学科が私立の玉名女子高校の中にあるビジネス科アニメデザインコースと慶誠高校の普通科パティシエ コースがその例であります。高い志を持って将来イラストレータークリエーターやお菓子つくり職人になろうと高校で プロ職人から技術を学び、3年間仲間と共に頑張りたい方にお勧めです。将来資格を取得したい等事情がある方は、上 の専門学校や大学を目指して高い技術を取得するために進学される方が多いのも特徴です。また工業・商業・農業高校 も現在約3割が大学進学、7割が就職という時代であり、普通科からでないと大学へ行けないという考えはまさに古い です。いわば高校は大学へ行くための1つの通過点であります。普通科ばかりでなく他の学科でも大学を目指せる環境 はすでに出来ていますので安心して下さい。
 次に生徒の個性を重視した学校といえば、東海大星翔高校であります。学校側が真ん中に生徒というスローガン通り の授業を行っており、バックに東海大学がありますので大学受験の心配がなく、むしろ高校3年間を充実した生活を送 れるのが特徴であります。学校グラウンドもプロでも使える人工芝のサッカー場が整備されておりますので最近の生徒 に人気が出ています。

3. ここ数年の間、公立高校後期(一般)入試の問題レベルが上がっている傾向がみられる

 高校受験をされた生徒からよく聞く言葉が、時間内で解けない難しい問題が1問あったと聞きます。特に数学、理科 がその傾向が強く見られるようになってきたように感じます。これは将来の大学入試を見越しての新傾向問題だと私達 は見ています。特に今の時代は、思考力、判断力、表現力を求めてくる問題が多く出題されようになってきました。そ のため、教科書に書いてあるようなお手本的な解答でなく、自分から課題を見つけて解決する解答が求められています。 ただ慌てては難しい問題を最初から解いてはいけません。基礎問題を最初から行いある程度できるようになってから応 用問題を解きます。数学でいう計算問題で点数稼ぎをするのと同じくらい大切です。応用問題はいわば部分的に点数を 加算する部分点みたいなものです。できないなら最初から解かなくてもよいのです。時間内で解けるところで点数を稼 ぎ、残った時間で応用問題で部分点を稼ぐ方が一番堅実です。皆さんも実践してみて下さい。

4. 最近、受験難民が増えている傾向があります

 私達がいう受験難民とは受験すらできない生徒のことを言うのではなくて、成績がまあまあ取れても四高受験には少 し点数が届かないし、私立の進学校の奨学生入試にも少し点数が届かない、でも私立の進学校の専願入試だったら合格 できるレベルであるのに、公立高校(一般)入試も受験したいし、私立高校一般入試でも上の進学校を受験したいとい う成績が真ん中より少し上にある生徒を意味しており、点数でいうと「5教科合計140点〜170点未満」の生徒達 を意味しています。最近は、このレベルの生徒さんの進路先を選ぶのが難しくなっています。最近は私立高校も人気が 集まってきており、昔と比べて学校レベルもアップしてきておりますので、特に注目が集まっているのが上に大学があ る付属高校に人気が高まり受験者数もアップしています。今は私立高校を一発で決めるか、公立高校を一発できめるか 二者択一の時代に入ってきています。私立の一般入試も入試レベルがアップしていますので、特に私立進学校を目指す 生徒さんはしっかり情報を集めた上で受験を心がけてください。

5. 2020年度大学入試はなぜ変わるのでしょうか

 現在、日本は「グローバル化の進展」、「生産年齢人口の急減」、「労働生産性の低迷」等様々な問題を抱えています。 今の教育では将来海外に対応できないことに危機感を覚え、「自分で課題を見出し周囲と協力して解決する力」が世間で 求められるようになってきました。そのため学校教育現場にも変革が求められ、今までの学力の測り方に「知識」、「技 能」ばかりでなく、「思考力」、「判断力」、「表現力」を重視した入試を導入することになりました。その特徴として みられるのが国語、数学、英語の3教科であります。国語、数学では記述式の問題が導入され複数の情報を組み合わせて 新しい考えをまとめて記述する問題も出題され、英語は「聞く」、「読む」の2技能評価から「聞く」、「読む」、「話 す」、「書く」の4技能評価に変更され民間資格・検定試験が導入されます。生徒は学校が指定する検定試験を受験し、 その結果はCEFRに基づく段階別成績を大学に提供されます。また大学入学共通テスト後の個別大学試験でも「多面的 ・相互的評価」が導入され、一般選抜でも調査書、志望理由書・小論文・面接等が各大学の必要に応じて課せられ、学校 推薦選抜、総合型選抜でも学力評価が重視されるようになります。何度も繰り返しますが、高校での活動(学校成績・部 活・委員会・ボランティア・資格・検定等)が今後の課題として大きくのしかかってきます。

6. 今後、大学の入試改革はどのように進むのでしょうか

 国は、大学入試で知識だけでなく思考力、判断力、表現力など自分から課題を見つけて解決する力やさまざまな人と協 力して学ぶ力を総合的に評価できる人材を求めています。そのため、一般入試や推薦、AO入試の改革を各大学へ求めて います。具体的には(1)調査書や志願者本人が作成した高校時代に取り組んだことについての資料を活用する(2)記 述式問題の充実(3)英語4技能の総合評価などの改善を図る等色々取り組んでいきます。また推薦入試やAO入試では 「学力不問」にならないように、大学入学共通テストを課すか、小論文・口頭発表・各教科のテストなどを活用するよう 求めています。以下に大学入学共通テストの変更点を以下に掲載します。

大学入学共通テスト変更点

7. 今後、大学入学共通テストに向けてどのような勉強をしていけば良いのでしょうか

 大学入学共通テスト(以下共通テスト)においてはこれまで以上に思考力や発表力のようなものが問われます。共通テ ストとは直接の関係はないですが,大学における個別入試でも記述式問題の数が増えることが予想されますので,「文章 を書く練習・人に伝える練習」はこれまで以上に,しっかり対策していかないといけません。ただ受け身で授業を聞いて いるだけでは,そういった能力は育ちにくいです。塾業界においても,集団授業から,個別指導への転換期が訪れること になると思われますので、早めの対策が必要になってきます。次に問題形式が記述式になるということについてですが, これは,国語と数学において2020年度の共通テストからいち早く導入されます。その後,2024年度から地歴公民や理科に おいても導入されることが決まっています。

国語、数学、英語についてわかっていることを以下に詳しくまとめてみました。

 国語ですが,これはあくまで現代文における出題に限ります(古文や漢文の問題において記述式が採用されるわけでは ありません)。80字〜120字の記述を含む3問が記述式となります。もちろんマーク式の出題もこれまでどおり行われます が,記述式問題は大問がマーク式の問題とは別に出題されます。合わせて100分で解くとのことです。これまで大問は, 現代文2題・古文1題・漢文1題だったことを考えると,それにもう1つ記述用の問題が追加になる感じでしょうか(それを 20分で解くような)。
 次に数学ですが,これは数学Iを含む科目,つまり数学Iか数学IAにおいて,数式や問題解決の方略などを書かせる 問題が3問出題されます。最初は,「証明問題なんて時間食ってしょうがないよな」と思っていましたが,複数の解法が あるような証明問題は出題されないとのこと。あくまで,計算式であったり,誘導のある証明問題の一部分を埋める感じ でしょう。こちらの問題は大問の中に混在されるということで,国語のように記述用の大問が用意されるわけではありま せん。時間は全部で70分ということで,10分だけこれまでのセンター試験より長くなっています。
 またテスト的にウエイトが重くなってくる大切な英語についての対策ですが,4技能のうち,「話す」・「聴く」・「 書く」能力に関しては,対策が非常にしにくいです。「聴く」ことは「話す」能力に深く結びついていますので,これま でのセンターのように,リスニングの対策は皆無でもいいやということにはならないと思われます。そうなると,リスニ ング能力を伸ばす必要がありますが,英語耳を作るためには毎日少しずつでも英語を聴くことが大切になってきますが、 ラジオ英語を普段から真面目に聴く生徒が何人いるでしょうか?ほとんどいないと面ます。本人が毎日聴いているといっ ても,本当かどうかわかりません。よって,ネイティブのいる個別指導塾であったり,今はネット社会ですので,親が子 供の学習時間をチェックできるオンライン学習サービスもありますので,そういったものを利用するのが良いと思います。
 最後に、今の若者の取り巻く環境は劇的に変化していっております。将来、自分から課題を見つけて解決する力を世間 は求めていますので、3年後受験生になる方は、高校3年間を充実した生活を送って下さい。

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